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格付けを超えるワインの難しさ
ヨーロッパをはじめ、ワインの名産地には必ず高級ワインと日常的なワインの棲み分けカテゴリーが存在しています。 フランスのAOCに代表される、言わばカテゴライズされる格付けのようなものです。原産地保護のためにつくられたこのカテゴリーにより、産地の味が重要視されるワインの安全性とブランド力が守られているといっても過言ではないのです。 しかし、この法律を守ることは安全性とブランドを守りはできますが、その土地で全く新しい味わいのワインを生み出すことを難しくしている側面もあります。しかし、イタリアがその殻を打ち破ったのです。
イタリアの功績
イタリアではDOCGが最高カテゴリですが、この条件を避けてワイン造りをすればDOCGとエチケットに記載できません。 結果、味わいが素晴らしくとも店頭では2流ワインというレッテルとなってしまうのです。とはいえ、近年のワインジャーナリズムの発展により、規定外の素晴らしいワインを造る生産者を褒め称え、まったく新しいカテゴリーが造られているのも事実です。 その代表的な存在がイタリアの「スーパータスカン(スーパートスカーナとも呼ばれる)」でしょう。規定に縛られず、自分たちが打ち出す新しい味を求めるイタリア人らしい発想です。ここでは、スーパータスカンとは一体何なのかを紹介していきましょう。
スーパータスカン
イタリアのワイン格付けカテゴリーは、「D.O.C.G.」「D.O.C.」「I.G.T.」「Vino da Tavola」です。生産地との結びつきが強ければ強いほどに、カテゴリーは狭くなっていきます。 土着品種が大切とされるイタリアでのワイン造りの頂点はDOCGですので、そこを多くの生産者が目指すわけです。 しかし、場所によってはテロワールに合致するぶどうは土着品種では無くても良いわけですし、より優れた世界的ワインを造ろうと思った生産者も多くいました。そんな中、いち早く成功を収めたのがサッシカイアでした。
パイオニアはサッシカイア
ボルゲリサッシカイアは有名ですが、使われている品種はカヴェルネソーヴィヨンにメルロです。トスカーナ州のボルゲリ地方はティレニア海沿岸のエリアです。 1944年、シャトー・ラフィット・ロートシルトからカベルネソーヴィニョンの苗木を譲り受けたことが、この土地のワイン造りのスタートだったと言われています。ジャコモ・タキスやボルドー大学教であるエミール・ペイノーによって、世界品質のワインの研究が進められます。 結果、1972年にワイン評価誌「デキャンター」が行うブラインドティスティングで、ボルドー1級シャトーを抜いて勝利を収めたのがサッシカイアだったのです。DOCGで無くとも世界で戦える、そして勝てる…。 そんなワインを造ったのが、サッシカイアだったのです。この一件以来、カテゴリーにこだわらず素晴らしいワインを造る生産者は増加しており、今後も期待が持てるジャンルとして確率したのです。