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意外と知らないワインの殺菌方法とワイン醸造

一般的に日本酒は製造過程で火入れをして殺菌されていますが、ワインは私たちの口に入る前に、どのように殺菌・除菌されているのでしょうか。ここでは、ワインエキスパートの資格を持つ筆者が、ワインの殺菌方法や、話題の「生ワイン」にいついて解説します。

なぜワインを殺菌するの?

ワインはぶどうに酵母を加え、発酵させて作られています。そのため、ビン詰めする前のワインの中には、発酵を行った際の酵母(微生物)やブドウ由来の乳酸菌が多く生存しています。そのままビン詰めしてしまうと、その酵母や乳酸菌が瓶内で再増殖し、濁りやガスの発生、香味劣化などの原因となってしまいます。そこで、ワインも一般的には日本酒と同様に、殺菌・除菌がなされています。

ワインを殺菌するには

ワインを殺菌・除菌するには、2通りの方法があります。
①酵母や乳酸菌を加熱によって殺菌する
②細かいフィルターで濾過して除菌する
以下、それぞれの方法を詳しく解説していきます。

酵母や乳酸菌を加熱によって殺菌する方法

日本酒でいう「火入れ」と同様の方法になります。日本酒の場合は60~65℃で一定時間酒を加熱し、残存している酵素の働きを止め、殺菌をして酒質の安定化を図ります。
ワインの醸造において、この「火入れ」の工程は「パスツリゼーション」と呼ばれています。「パスツリゼーション」とはフランスの細菌学者パスツールが考案した方法で、広く「低温殺菌」を意味し、ワインだけでなく乳製品の製造などでも用いられています。
ワインをパスツリゼーションする場合、アルコール12度のワインであれば50℃で1分間の加温で、酵母はほとんど殺菌されると言われていますが、一般的には約60℃で5分間の加温を行います。
しかしながら、この方法にはワインの繊細な味わいが損なわれてしまうという弱点があるため、この方法を採用していないワイナリーも数多くあります。

細かいフィルターで濾過して除菌する方法

フィルターや遠心分離機などで濾過して微生物を取り除く方法です。この方法では加熱工程が無いため、ぶどうの持つ本来の香りやワインの味わいが素直に保たれます。世界的に見ても、ほとんどのワイナリーがこの方法を採用しています。
ただし、この方法においては、濾過の過程でワインの旨味となる一部の要素も取り除かれる、と言われています。

加熱も濾過もされていない「生ワイン」

ワインの最も自然に近い美味しさを残すために、熱処理も濾過もせずに瓶詰めがされているワインもあります。このようなワインは、一般的に「生ワイン」と呼ばれています。実際、「生ワイン」という言葉に厳密な定義はなく、加熱処理を行っていなければ「生ワイン」と言うことができそうですが、日本で「生ワイン」と呼ばれているワインのほとんどが無濾過のものです。
ぶどう本来の果実味やワインの旨味が味わえ、香りも高い生ワインですが、とてもデリケートで温度変化に弱いので、保存する際は十分管理に気を付けましょう。また、購入したら早めに飲んでしまうことをお勧めします。

まとめ

いかがでしたか?ワイン通の間でも意外と知られていないワインの殺菌方法と、生ワインについて紹介しました。ワインを選ぶ際には、そのワインがどのような工程で作られたかを一つの基準にしてみるのもいいですね!

ブドウが収穫されたら、次はついにワイン醸造の作業に取りかかります。この段階で芸術的とも言われる作業が行われることから、醸造所が「アトリエ」と呼ばれることもあります。収穫後の作業をおっていきましょう。

発酵

ブドウの果皮が破れると酵母と結びつき発酵が始まります。いくつかの段階を経て、果汁の糖分がなくなり酵母の活動がやむと発酵が止まります。

この最初の段階で、やや不快な風味を残す野生酵母とバクテリアを消滅させるために二酸化硫黄が添加されることが多いのですが、二酸化硫黄にアレルギー反応を起こす人もいることからこれが使用された場合はボトルに「二酸化硫黄添加」の文字が記載されるようになりました。

発酵は温度調節をしながら行なわれ、これにより発酵状態をコントロールします。また白ワインは香りを維持するため、赤ワインは果皮からの色、そしてタンニン抽出のため温度は高めに調節されます。

白ワインの生産方法

発酵前にまずブドウを圧搾し果皮を取り除きます。その後、上記の発酵が伝統的な木製の樽、近年ではステンレスの樽で約2〜4週間行なわれます。

赤ワインの生産方法

赤ワインの色とタンニンは、黒ブドウの果皮の色素から抽出されます。そのため、茎をとった果実を破砕し、果汁と果皮を一緒に発酵槽に入れて高めの温度で発酵が始まります。この時の果汁と果皮の接触日数は、軽いタイプの赤ワインは短く、重厚な重い中長期熟成に耐えるタイプの赤ワインは長くなります。

ロゼワインの生産方法

ロゼワインは通常黒ブドウから作られます。ブドウを破砕し果汁に色がつくまで一緒に発酵し、その後、果汁のみを低い温度で発酵させます。

スパークリングワインの生産方法

発酵時に生じる炭酸ガスをワインの中に閉じ込め、開栓した時に発泡するようにします。
*スパークリングワインの章をご参照ください。

やや甘口、甘口ワインの生産方法

*甘口ワインの章をご参照ください。

発酵後

熟成

ブドウ果実そのものの香りと味を楽しんでもらいたい場合は貯蔵して数ヶ月後に瓶詰めをしますが、十分なタンニン、酸味、アルコール度を残し中長期の熟成に耐えうるワインを作る場合には、瓶詰め前に醸造所で長期間熟成が行なわれます。この段階でワインはゆっくり穏やかに酸化し安定したワインになります。また、この時新しいオーク樽を使って、ワインにトーストの風味をつけたりすることもできます。

清澄、澱引き

発酵後の果汁から不純物を取り除き澄み切ったワインにするため、発酵終了後に沈殿物となった発酵後の死んだ酵母を(澱)を取り除く作業を行います。ただ、一部の生産者やワイン評論家の中には、澱を取り除くことによってワインの個性が失われるという意見を持つ人もいます。

ろ過、安定化

出荷後のワインの品質を安定させておくため、いくつかの方法が用いられています。いずれも近年いくつかの方法が考案され、最終的に出来上がるワインのスタイルによっていろいろな方法がとられます。

瓶詰め

伝統と現代科学の融合が魅せるアトリエ

ヨーロッパ各国では数千年もの間、少しずつ技術が進化しながら、人々はワインを作ってきました。今では、そう言った先祖代々伝わる伝統的な作業工程がそのまま残されているところもある中、多くの作業が現代技術を用いて行われています。昔ながらの長い年月を経たワイナリー(醸造所)を訪れると、独特な酵母とカビの臭いが見学者を歓迎してくれますし、また先端の最新技術を使って作られたワイナリーを訪れると、その先駆的な作業工程にアッと驚くことになります。もちろん、新旧の技術を併用しているすばらしいわいなりーもたくさん存在しています。好きなワインを見つけたら、そのワインがどんなところで生まれたのか訪問してみたくなるかもしれませんね。

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