よく食前酒などとして飲まれることの多い「シェリー酒」。
実は、シェリー酒もワインの一種だってご存じでしたか?
ただし、普通のワインとは違う「酒精強化ワイン」というカテゴリーに
分類されます。
今日は、シェリー酒を始めとする、「酒精強化ワイン」について学びましょう。
酒精強化ワインとは
ワインまたはブドウ果汁に、高いアルコール度数のブランデーを加えて
一般的なワインよりアルコール度数を高めたものを
「酒精強化ワイン」と言います。
一般的なワインのアルコール度数は15度ぐらいまでになりますが
酒精強化ワインは、15~22%ぐらいとかなり高くなります。
酒精強化ワインは、アルコールを強めることでボリューム感を増し
保存性を高めることを目的として開発されました。
まだ冷却設備が整っていなかった昔は、気温が高いほどワインが痛みやすかったので
酒精強化ワインの産地は温暖な地域が多いです。
また、酒精強化ワインの最大の消費国はイギリスなので
イギリスにワインを輸出できる海に面した地域や、イギリスの植民地などに
産地が集中しています。
世界三大酒精強化ワインとは
世界三大酒精強化ワインは、ポルトガルのポートとマディラ、
そしてスペインのシェリーでしょう。
ほかにも、イタリアのシチリア島で造られるマルサラも有名です。
今はスティルワインがメジャーですが、オーストラリア、ニュージーランド、
南アフリカなども、かつては酒精強化ワインの生産が盛んでした。
スペインアンダルシアの「シェリー」
スペインの最南部、アンダルシアで造られる白の酒精強化ワインです。
バロミノというブドウ品種を使い、辛口のものが多いですが
中には甘口のものもあります。
アルコール度数は15度前後で、酒精強化ワインにしては控えめです。
シェリーの生産は、まず完全にアルコール発酵を完了させた
辛口ワインを造り、アルコール度数を15.5%まで強化します。
その後、樽に7分目まで注いで状態で熟成を始めると
樽の中のワインの液面に酵母が白い膜を張り
ワインを過度の酸化から守るとともに、シェリー特有の風味を与えます。
ポルトガルの「ポート」
ポートは、ポルトガル北部のドウロ下河流域で造られる、酒精強化ワインです。
アルコール発酵を途中停止させて造る、赤の甘口のタイプがほとんどですが
白や辛口タイプも少しあります。
ヴィンテージポートと呼ばれる、収穫年号入りの最高級品の寿命は極めて長く
イギリスを中心に世界中に愛好家がいます。
ブドウ品種は、推奨されているものだけで
黒9種、白6種があります。
古くは17世紀後半に、フランスワインの代わりを探していた
イギリスのワイン商によって、発掘されました。
その後もイギリス市場とポートの蜜月関係は続いており
現在も最大の市場はイギリスのままです。
ポルトガルの「マディラ」
マディラ諸島は、ポルトガルの首都リスボンから
南西10000キロの距離にある、大西洋上の島々です。
マディラはすべて白で、辛口から甘口までさまざまなタイプがあります。
ワインを30~50度という高温で酸化熟成させるのが特徴で
酸化の極限に達することで、琥珀色の枯れたスタイルになります。
また、加温することにより、キャラメルのような風味が出てきます。
高級品は半永久的な寿命だと言われ、
市場には1800年代のマディラも存在しています。
まとめ
いかがでしたか。
よくレストランで食前酒としてリストに載っているシェリー酒ですが、
たまにはいつものスパークリングではなく、シェリー酒を楽しんでみるのも
新鮮な気持ちになれておすすめです。
シェリー酒は、食前酒として楽しむことからも辛口が多いですが、
実は辛口から極甘口まで幅広い種類があります。
辛口は食前がおすすめですが、甘口のものは食中や食後がおすすめです。
たくさんのメーカーが作っているので、ワインメーカーごとに
いろんな味わいのシェリー酒が存在しています。
同じシェリー酒でも、自分の好みの1本を見つけてみるのも楽しいですね。
レストランやバーで、銘柄指定でシェリー酒を頼んでいる姿、
ちょっと憧れてしまいますね!